No.10 鮨屋にて

日本列島に異変あり・・と言われて、もう何年たつのでしょう。この何年かで自分たちが体験したことのない事もたくさんありました。昔の映画のように ” 日本沈没 ” なんて事が本当に起こってしまうのでは、と思ってしまうこの頃です。

先日子供と野球観戦に行ってきました。
試合がもつれ、明日が早い事もあって途中で帰ることになり、球場を後にしたのですが、あろうことか真っ暗な草薙球場で迷ってしまいました。
なぜか出られない。散々迷って歩いて外には出たものの、親父の権威はボロボロ。
そこで、お鮨でも食べさしてプラスマイナスでゼロかなぁ・・と言う幼稚な考えで早速鮨屋へ。

 「なんにします ?  」 いい笑顔の親父さん

 「おきまりで上を子供に・・私はつまみで頼みます。」

さっそくビールを飲む私に「わさびはぬきますか ? 」と聞いてくる。
隣にいる小学五年の我が子がすかさず「普通でお願いします。」・・「ぼうや、一人前だねぇ。」とますます笑顔の親父さん。私も父親面してニヤニヤ。うれしかったですよ。私は!

普段から、わさびが食べられなければ鮨食うな!と言っていたせいかどうか分かりませんが、わさびを抜いたら鮨じゃなくて、刺身ごはんでしょう。
米とねたとわさびと醤油がピタッと決まって鮨ですよね。
わさびが多かったら「ちょっと少なめにして・・」「おかみさんと喧嘩でもした ? 」とか親父さんとの会話を楽しみ、それで一杯また一口。会話も味のひとつです。
回るすしが全盛の中、いつまでも残ってほしい文化だと切実に思うこの頃です。

2005年冬 吉日 シェフ