その50 季節外れのウサギ

開店から2回目の夏を迎えようとしていた頃

省エネ、エコ活動の調査と状況を伺いたいと電話がありました。
すこぶる丁寧な電話につい明日の3時という約束をしたのですが、これが悪魔の罠だとは微塵も思いませんでした。

約束の時間どおり現れた彼は キッチリとした背広で清潔感のあるヘアー。テーブルに広げた会社概要の冊子は、綺麗なカラー印刷でA4で6ページもある。
環境庁からもエコ活動推進企業とある。
『どの様なエコ活動してらっしゃいますか?』

マイ箸の推進に箸キープやゴミの減量とか 取り組みを伝えると
『ありがとうございます。充分です』と言いながら握手を求めてきました。

握手などという 慣れないものに 少し違和感を感じたものの  彼の誠実さを信じて省エネできるという 節電王なる物に仮契約。2日後にどの位節電になるか調査の上本契約となりました。2日後二人できた彼らはチェックした数値で 月にこの位の節電になるという。

高い買い物だけに どうするか迷っていると『詳しいデータを明日持ってきますので』帰った彼等の過ぎる程の隙のなさに また不安がよぎります。

そうだ 会社に直接電話してみよう!

ドキドキのコール後 会社につながる。

『⚪️⚪️さん いらっしゃいますか?』
『⚪️⚪️は営業で静岡におりますが・・』
そうか ちゃんとした会社だった。

疑って悪い事したと思い 同時に安心も。

電気代が下がらなかったら すぐにバックアップしてくれるという保障をつけて契約。

夏場を過ぎ ほんの少しは節電できてるのかな?  と思い始めた頃  厨房のコンセント増設を友人の電気屋 龍二に頼みました。

『フナ(私)ブレーカー何処?』
『何だこりゃ  節電王てさあ』
『龍二 知らないの?  節電できる機械だけらしいよ。』
『フナ  騙されてないかい?』

北海道訛りで龍二が珍しく真面目に言った
『チョットは料金下がってるみたい』
私が言い終わる前に『バーカ。 そりゃさがるべよ。少しは。だって二箇所にタイマー付いてて 夜中に電源はいらんように なってるべさ』

えっ  それで下がったの?。追い討ちを掛けるように『節電王自体はカバーだけで 普通にブレーカーだべさ 幾らしたのよ』

龍二の声が響く。とっさに会社に電話、バックアップは? 電話番号は?『現在この電話は使われておりません。番号をお確かめ上・・・』

うそ ウソ 嘘! うっさぎだ。 嘘だ~。

もうすぐジビエの季節なのに 季節外れのウサギに食べられてしまった私でした。